情報公開について

平成25年度 事業報告書(平成25年4月1日〜平成26年3月31日まで)

T 事業の概要
    公益法人制度改革により当財団は平成25年3月に内閣府より公益財団の認可を得、平成
   25年4月1日に公益財団移行登記を行い、公益目的事業の推進に力を注ぎ実施してきた。
   公益目的事業の「1」として、前年度に引き続き、糖尿病に関する調査研究に対する助成事
   業の推進を図るとともに、糖尿病に関する予防キャンペーンによる正しい知識の普及啓発活
   動の実施及び助成を行い、また国際交流活動等を積極的に実施した。
   公益目的事業の「2」として、厚生労働省が推進する糖尿病予防のための戦略研究を実施し
   てきた。


U 事業の内容

公益目的事業1

 1. 研究助成事業
  (1) 糖尿病に関する調査研究に対する助成(一般公募研究助成)
    糖尿病合併症の種類・治療状況などの実態調査・研究、遺伝子異常による発症機構
    の研究、動物実験での発病メカニズムの解明を目的とする制約のない研究など、幅
    広い糖尿病に関する研究の公募を行ったところ、全国から25件の応募があり、選考
    委員会において研究の計画性、予防・治療への応用性、治療薬の開発等の面から応
    募課題の5段階評価を行った。慎重な審査の結果、10名に対し総額1千万円の助成
    を実施した。助成対象者は、別添1のとおりである。
  (2) ノバルティスファーマとの共同による研究助成
    膵島機能に限定した若手研究者の臨床研究に対する公募を行ったところ、全国から
    19件の応募があり、選考委員会において研究の計画性、予防、治療への応用性、治
    療薬の開発等の面から応募課題の5段階評価を行った。慎重な審査の結果、10名に
    対し総額1千万円の助成を実施した。助成対象者は、別添2のとおりである 。
  (3) 日本イーライリリーとの共同による研究助成
    インクレチンに関する基礎研究に対する公募を行ったところ全国から29件の応募が
    あり、選考委員会において研究の計画性、予防、治療への応用性、治療薬の開発等の
    面から応募課題の5段階評価を行った。慎重な審査の結果、8名に対し総額8百万円
    の助成を実施した。助成対象者は、別添3
    とおりである。
  (4) コストコホールセールジャパンとの共同による研究助成
    小児又は若年発症糖尿病(いずれも病型は問わない)に関する基礎的又は臨床的研
    究に対する公募を行ったところ全国から6件の応募があり、4名に対し総額4百万
    円の助成を実施した。助成対象者は別添4のとおりである。

   選考委員
     委員長  葛谷  健  藍野加齢医学研究所糖尿病センター センター長
     委 員  石橋  俊  自治医科大学 内分泌糖尿病内科 教授
     〃    宇都宮一典  東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科 教授
     〃    柏木 厚典  滋賀医科大学付属病院 病院長
     〃    河盛 隆造  順天堂大学医学部 特任教授
     〃    寺内 康夫  横浜市立大学医学部 分子内分泌 糖尿病内科 教授
     〃    山田祐一郎  秋田大学医学部 内分泌・代謝老年医学部 教授


 2. 糖尿病に関する予防及び教育啓発活動の実施及び助成
  (1)当財団独自の糖尿病予防キャンペーン講演会を、下記のとおり開催した。
     東日本地区の講演会として千葉県千葉市において開催した。来場者数は250名であった。
      日 時 平成25年11月4日(月)振替休日 13時〜17時15分
      会 場 千葉市 京葉銀行文化プラザ3階 音楽ホール
      世話人 東京女子医科大学八千代医療センター 副院長 橋本 尚武
      開会挨拶
       公益財団法人日本糖尿病財団理事長 岩本 安彦
      T 千葉県における糖尿病・生活習慣病の対策の紹介
       ・糖尿病対策推進会議 千葉中央メディカルセンター 糖尿病センター 金塚 東
       ・CDE-Chiba 三咲内科クリニック 栗林 伸一
       ・小象の会 西船内科 篠宮 正樹
       ・千葉県腎症アンケート 千葉労災病院 三村 正裕
      U 特別講演
       「糖尿病薬物療法の最近の進歩」
        東京女子医科大学 名誉教授
         公益財団法人日本糖尿病財団 理事長  岩本 安彦
      V 運動療法継続のポイント
        三咲内科クリニック 長阪 祐子
      W パネルディスカッション
        糖尿病予防と早期治療〜糖尿病にならない対策、もしなった時の心がけ〜
        ・食事の面から      国保君津中央病院 櫻井 健一
        ・肥満予防のポイント   国保旭中央病院 鈴木 義史
        ・脳梗塞予防のポイント  成田赤十字病院 松尾 哲
        ・心筋梗塞予防のポイント 関谷内科 関谷貞三郎
        ・腎症予防のポイント   千葉大学細胞治療内科学 竹本 稔
        ・医療連携のポイント  日本医科大学千葉北総病院 江本 直也
      閉会挨拶
        糖尿病対策推進会議代表理事 鈴木 弘祐

  (2)公益社団法人日本糖尿病協会との共催による糖尿病予防キャンペーンとして高知県
     高知市において講演会を開催した。
      西日本地区として高知県高知市において開催。来場者は350名であった。

       日 時 平成25年12月15日(日)13時〜17時

       場 所 高知市 高新RKCホール

       世話人 高知大学医学部内分泌代謝・腎臓内科 教授 藤本 新平

       開会挨拶

        主催者挨拶 公益財団法人日本糖尿病財団 理事長 岩本 安彦

              公益社団法人日本糖尿病協会 業務執行理事 南條輝志男

        基調講演「糖尿病と上手に付き合い元気で長生き」

           講師  公益財団法人日本糖尿病財団 理事長 岩本 安彦

         特別講演「母児を糖尿病から守る予防キャンペーン」

           講師  海老名総合病院 糖尿病センター長  大森 安恵

 

        演奏   高知大学医学部管弦楽団

        パネルディスカッション

          「みんなの力で糖尿病予防」

          演者 保健師 安芸市市民課健康ふれあい係長    国藤美紀子

             管理栄養士 細木病院栄養管理室       安岡 美佐

             理学療法士 高知大学医学部附属病院     上野 将之

        特別講演 「超高齢社会における糖尿病予防の重要性」

          講師 公益社団法人日本糖尿病協会 業務執行理事  南條輝志男

        閉会挨拶

          公益社団法人日本糖尿病協会 高知県支部 支部長 吉本 幸生


 3. 糖尿病に関する国際交流活動の実施及び助成

  (1)国際交流活動の一環として前年に引き続き、第8回ステノ研修として、デンマ
    ーク コペンハーゲンHotel.Skt.Petriにおいて「New insight into diabetes
    complications」に関する討論を平成25年5月29日から31日の3日間実施す
     る為の助成を行った。選考による助成者は 別添5の15名であった。

    プログラム

    第1日 Exercise and Hypertension in diabetes  演者 Hans Ibsen

                              Peter Nilsson

       Diabetes and the Heart         演者 Sten Madsbad

                               Lars Kober

    第2日 Screening for complications and risk factors

                           演者 Valeriya Lyssenko

                              Rayaz Malik

                              Naveed Sattar

        Improving outcome Marit E Jorgenesen

                              Peter Rossing

                              Kirsten Norgaard

                              HenninBeck-Nielsen

                              Maria Lajer

    第3日 Novel concepts and therapies     演者  Frederik Persson

                              Oluf Pedersen

                              Jesper Hastrup Svendsen

                              Timothy O'Brien

       Full integration of risk factors          Peter Rossing

                              Bernd Mayer


  (2)ヨーロッパ糖尿病学会と日本糖尿病学会との共同企画で立ち上げたEast-West
      Forum交換留学生として 熊本大学大学院生命科学研究部 石井規夫氏及び九州
      大学生体防御医学研究所 北島秀俊氏に決定したところ、両名よりやむを得ない事
      F情により辞退の申し出があり、今年度の派遣を見送ることとし、来年度は4名を派
      遣することに決定した。


 4. 糖尿病医学研究集会及び糖尿病患者の管理向上のための調査研究に対する総合調査研究 の助成を行った。

   1. 一般公募研究助成{公益目的事業1−1−(1)と重複}

   2. ノバルティスファーマ研究助成{公益目的事業1−1−(2)と重複}

   3. リリーインクレチン基礎研究助成{公益目的事業1−1−(3)と重複}

   4. コストコ研究助成 {公益目的事業1−1−(4)と重複}

   5. ステノシンポジウム (公益目的事業1−3−(1)と重複)

   6. 関東糖尿病薬研究会

   7. 日本糖尿病進展抑制研究会

   8. Diabetes Masters Conference

   9. 第48回糖尿病学の進歩

   10. 糖尿病デ−タマネジメント研究会

   11. 妊娠糖尿病1点異常に対する管理についての研究

   12. 第25回分子糖尿病学シンポジウム

   13. 大阪糖尿病アカデミ−

   14. 大宮医師会コホート研究会

   15. 小児インスリン治療研究会

   16. 第13回日本先進糖尿病治療研究会

   17. VISION2研究会

   18. 第31回日本肥満治療研究会

   19. 札幌糖尿病研究会

   20. 第51回日本糖尿病学会関東甲信越地方会

   21. East-West Forum {公益目的事業1−3−(2)と重複}

   22. NKD研究会

   23. 2型糖尿病患者に対するアログリプチン投与による有効性・安全性に関する調査研究


 5.  平成21年5月より、日本赤十字社は献血事業の際にグリコアルブミンを指標として献
  血者全員の糖代謝異常の有無を判定し、献血者個人に結果を報告し糖尿病を早期に発見し
  治療に結びつける事業を行っている。当財団は、その事業に賛同し助言と協力を行っている。
  得られたデータの解析と利用方法について検討中であり近々方針を決定する予定である。
  献血事業は年間わが国の成人約500万人を対象として行われており、成人の糖代謝異常
  について早期発見と対策を立てる上で重要と考えられる。


公益目的事業2
  厚生労働省が推進する糖尿病予防のための戦略研究

    厚生労働科学研究における糖尿病予防のための戦略研究(課題3:2型糖尿病の血管合
   併症抑制のための介入試験、J DOIT3)の実施
    本事業は、糖尿病の新しい治療指針作りに貢献するものであり、国民の健康増進に寄与
   するものとして平成17年度より3課題からなる厚生労働科学研究の一環として平成18
   年6月より2型糖尿病の血管合併症抑制のための強化療法と従来治療とのランダム化比較
   試験を開始し、研究進行の途上において、これまで研究の主体であった財団法人国立国際
   医療研究振興財団が平成25年6月30日をもって解散するところとなり、当財団が引き
   続き 継承することとなったものである。
    全国81か所の協力施設、被験者登録者2,542人の下において実施され、特に大血管合
   併症の抑制を目的とした研究で、生命予後に直結し高額な医療費の抑制にもつながるもの
   である。プライマリーエンドポイントが想定していた250に達しないこともあり、若干試
   験実施期間の延長が見込まれるものの進捗状況はHbA1c、血糖コントロール、血圧、脂
   質等検査値は目標設定値に近づき、改善が伺える状況にある。具体的な詳報は後日、論文、
   冊子にして発表の予定である。
                                        以 上